- 「毎日運動しているのに、なかなか体が変わらない」
- 「体重は減ったけど、なんだか老けて見える(メリハリがない)」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
実はその原因、トレーニング不足ではなく「筋肉の分解(カタボリック)」かもしれません。
私たち人間の体は、エネルギーが不足すると、自らの筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとします。これはダイエット中の方にも、パフォーマンスを上げたいアスリートにも、絶対に避けたい事態です。
筋肉が減れば、代謝が落ちてリバウンドしやすくなり、パワーも発揮できなくなるからです。
今回は、この「分解」を防ぐために必須となるタンパク質(プロテイン・EAA)について、理学療法士の視点から「種類・量・タイミング」を徹底解説します。
1. まずは結論。「EAA」と「プロテイン」は役割が違う

「プロテインとEAA、どっちを飲めばいいの?」という質問をよく頂きますが、
答えは「役割が違うので、両方使い分けるのが最強」です。 鍵となるのは「吸収スピード」です。
- プロテイン(タンパク質)
- イメージ:「お肉を液体にしたもの」。胃腸で消化が必要。
- 吸収速度:飲んでから約1〜2時間後にピーク。
- 役割:血中のアミノ酸濃度を「長時間」維持する。腹持ちが良い。
- EAA(必須アミノ酸)
- イメージ:「点滴」。消化の工程をカット済み。
- 吸収速度:飲んでから15〜30分で筋肉に届く。
- 役割:「今すぐ」栄養を届けたい緊急時のチャージ。
2. プロテイン選びの極意。「ホエイ」vs「ソイ」
プロテインにも種類があり、自分の目的に合わないものを選ぶと効果が半減してしまいます。
① ホエイプロテイン(牛乳由来)
- 特徴:動物性タンパク質。アミノ酸のバランスが良く、筋肉の合成スイッチを入れる力が強い。
- 吸収:プロテインの中では早い(約1時間)。
- おすすめな人:
- 「筋肉をつけたい」「体を大きくしたい」人。
- トレーニング直後の栄養補給に最適。
② ソイプロテイン(大豆由来)
- 特徴:植物性タンパク質。アルギニンが豊富で、女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」が含まれる。乳糖を含まないため、牛乳でお腹を壊す人でも安心。
- 吸収:非常にゆっくり(5〜6時間)。
- おすすめな人:
- 「ダイエット中」「引き締めたい」人。
- 腹持ちが良いため、間食代わりや就寝前に最適。
3. あなたは足りてる?1日の必要摂取量

筋肉の分解を防ぐには、常に体内に十分なタンパク質がある状態を作る必要があります。 1日に必要なタンパク質量の目安は以下の通りです。
- 運動をしていない人: 体重 × 1.0g
- ダイエット・軽い運動をしている人: 体重 × 1.2〜1.5g
- しっかり筋トレ・アスリート: 体重 × 1.6〜2.0g
(例)体重60kgでダイエット中の場合 60kg × 1.5g = 1日90g のタンパク質が必要です。
食事だけで摂ろうとすると、鶏むね肉なら約400g、卵なら約15個分…。かなり大変ですよね。だからこそ、プロテインでの補給が効率的なのです。
ちなみに、ダイエット希望でパーソナルトレーニングに通う場合、プロの指導のもとで「減量(体脂肪減)+筋肉量増量」を目標に高負荷なトレーニングを行うため、タンパク質摂取量の目安はアスリート寄りの基準を採用するのが適切です。
理由は、カロリー制限中の筋肉分解を防ぐ、筋肥大のサポート(筋肉合成のため)、食欲コントロール(タンパク質は満腹感を長く保ちやすい)のためです。
ただし腎疾患がある方は注意が必要です。
4. 理学療法士が推奨する「摂取の黄金スケジュール」

「いつ飲むか」で効果は劇的に変わります。分解を徹底的に防ぐスケジュールはこれです。
- 【起床後】プロテイン(ホエイ or ソイ)
- 寝ている間は栄養が入ってこないため、朝の体は枯渇状態(分解が進んでいる状態)です。まずは朝一番にチャージしましょう。
- 【トレーニング中】EAA
- ここが最重要!運動中はエネルギーが大量に使われ、最も筋肉が分解されやすい時間です。消化の負担がかからないEAAを飲みながら動くことで、「筋肉を守りながら脂肪を燃やす」ことが可能になります。
- 【トレーニング直後】ホエイプロテイン + 糖質(おにぎり等)
- 傷ついた筋肉を修復するために糖質を一緒に摂ることで、タンパク質の吸収率がアップします。
- 【間食・就寝前】ソイプロテイン
- 次の食事まで時間が空くときや、寝ている間の分解を防ぐために、吸収がゆっくりなソイを活用しましょう。
5. 筋肉がつくまでの期間と「継続」の重要性

焦りは禁物です。継続が大切です。
「1週間飲んだのに変わらない」とやめてしまうのが一番もったいないこと。
トレーニングも同様に、1ヶ月や3ヶ月でやめてしまうのは非常にもったいないです。
生理学的に、筋肉が変わるまでにはこれくらいの期間が必要です。
- 開始〜1ヶ月:神経の適応
- 見た目は変わりませんが、「重いものが持てるようになった」「動きが良くなった」と感じる時期。眠っていた筋肉が目覚めます。
- 3ヶ月〜:筋肥大の開始
- ようやく筋肉の繊維が太くなり始め、見た目の変化(引き締まり)を実感できます。
- 6ヶ月〜:他人から気付かれるレベル
- 「痩せた?」「ガタイ良くなった?」と言われるようになります。
体づくりは「最低3ヶ月」の継続が必要です。
プロテインやEAAは魔法の薬ではありませんが、3ヶ月続ければ必ず体は答えてくれます。
補足ですが、筋肉がつき始めるのに3ヶ月以上かかる一方、その効果は止めることで比較的早く失われます。
トレーニングを完全にやめると、重いものが持てなくなったと感じる筋力の低下は2週間ほどで始まり、3〜4週間で筋肉のボリュームも落ち始めるため、習慣を途切れさせないことが大切です。
6. プロテインだけではダメ?忘れがちな「必須成分」

最後に、タンパク質さえ摂っていればOKではありません。
それを筋肉に変えるための「大工さん」のような栄養素が必要です。
- ビタミンB群:タンパク質の代謝(分解・合成)を助けます。これが不足すると、プロテインを飲んでも排泄されてしまいます。
- 水分:筋肉の約75%は水です。前回の記事でも触れましたが、水分不足は筋肉の敵です。
[https://juntos-labo.com/hydration-science-winter-obihiro/] - 炭水化物(糖質):「太るから」と完全に抜くのはNG。エネルギー不足になると、体はせっかく摂ったタンパク質をエネルギーとして燃やしてしまいます(分解)。適度な糖質は「筋肉の分解を防ぐ盾」になります。
まとめ:賢く選んで、理想の体へ

- トレーニング中は「EAA」で分解ブロック。
- 前後の補給は目的に合わせて「ホエイ」か「ソイ」。
- 1日体重×1.5g以上を目指して、最低3ヶ月は継続する。
これが、理学療法士が推奨する「失敗しない体づくりの公式」です。
- 「自分にはどのプロテインが合う?」
- 「今の食事量で足りている?」
など、個別のサプリメント計画については、Juntosのカウンセリングでも詳しくアドバイスしています。自己流で遠回りする前に、ぜひ一度ご相談ください。
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