夏だけではありません。冬の帯広こそ「命を守る水分補給」が必要です。

こんにちは。
私はパーソナルトレーナーであり、理学療法士として身体の生理学やリスク管理の専門家でもあります。
「水分補給」と聞くと、汗をダラダラとかく夏場のイメージが強いかもしれません。 しかし、専門家として警鐘を鳴らしたいのは、実は「冬の帯広」こそ、脱水による健康リスクが高いという事実です。
外は氷点下、室内は暖房でカラカラ。 この環境下で水分が不足すると、単なる体調不良だけでなく、ヒートショック(急激な温度変化による血圧変動)による心臓発作や、アスリートであれば肉離れや痙攣のリスクが跳ね上がります。
この記事では、一般の方の「健康維持」から、アスリートの「パフォーマンス向上」まで、理学療法士の視点で「科学的な水分補給」の知識を分かりやすく解説します。
誤解だらけの「水分補給のキホン」と冬のリスク(一般の方向け)

まずは、私たちの身体の仕組みと、冬特有のリスクについて解説します。
ただ水を飲むだけではダメ!〜浸透圧の基本
「喉が渇いたから、真水をガブ飲みする」。実はこれ、あまり効率的ではありません。
私たちの身体(体液)は、単なる水ではなく、ナトリウム(塩分)などの「電解質」が含まれた生理食塩水のような状態で保たれています。
ここに真水だけが大量に入ってくると、身体は体液が薄まるのを防ぐために、「これ以上、水を吸収するな!外に出せ!」と反応し、尿として排出してしまいます。これを「自発的脱水」と呼びます。
水分を身体にしっかり留めるためには、水だけでなく、適度な「塩分(電解質)」と、吸収を助ける「糖質」のバランス(浸透圧)が重要になるのです。
帯広の冬こそ危険!暖房とヒートショック対策
帯広の冬は、非常に乾燥します。
さらに、高気密な住宅でストーブや暖房をガンガンに焚くため、湿度はさらに下がります。
私たちは汗をかいていなくても、呼気や皮膚から常に水分を失っています。これを「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と言い、冬場はこの「隠れ脱水」が進行しやすいのです。
【恐怖のヒートショックを防ぐために】 脱水状態で血液がドロドロになると、血栓ができやすくなります。 その状態で、寒い脱衣所から熱いお風呂に入るとどうなるか。
急激な血圧変動に身体が耐えきれず、ヒートショック(脳卒中や心筋梗塞)を引き起こすリスクが高まります。
これを防ぐための「科学的な習慣」はたった一つ。 「入浴の前後(各1回)に、コップ1杯の常温の水(または麦茶)を飲むこと」です。 これだけで血液の巡りが確保され、命を守る確率がグッと上がります。
パフォーマンスを左右する!アスリートのための水分補給戦略

ここからは、部活生や社会人アスリート向けの内容です。 「試合の後半で足がつる」「集中力が切れる」。それは根性不足ではなく、水分補給の戦略ミスかもしれません。
練習前後で「何を」「いつ」飲むべきか?
タイミングによって、身体が求める成分は異なります。
- トレーニング前(30分前まで): 基本は「水」でOKです。胃に溜まりすぎないよう、250〜500ml程度を目安にします。
- トレーニング中: 汗で失われる「電解質」と、エネルギー源となる「糖質」を含むスポーツドリンクが必須です。
- トレーニング後: 失った水分を補うだけでなく、筋肉の回復を促すために「プロテイン(タンパク質)」と「糖質」をセットで補給するのが黄金ルールです。
【保存版】「ハイポトニック」と「アイソトニック」の完全使い分けマニュアル
スポーツドリンクコーナーに行くと、似たようなボトルが並んでいますが、実は中身の「性格」は全く異なります。 鍵となるのは「浸透圧(しんとうあつ)」という言葉です。
これは簡単に言うと、「身体への染み込みやすさ(速度)」の違いです。
1. アイソトニック飲料(Isotonic)
- 意味: 「等張液」(身体の体液と同じ濃さ)
- 代表例: ポカリスエット、アクエリアス、グリーンダカラ
- 特徴: 糖質濃度が4〜8%程度。
- メリット: 水分補給と同時に、しっかりとした「エネルギー補給(糖質)」ができます。
- デメリット: 体液と同じ濃さなので、胃から腸へ移動するスピードは「緩やか」です。激しい運動中にガブ飲みすると、胃に溜まってチャプチャプする感覚になりやすいです。
2. ハイポトニック飲料(Hypotonic)
- 意味: 「低張液」(身体の体液より薄い)
- 代表例: アミノバリュー、ヴァームウォーター、イオンウォーター、スーパーH2O
- 特徴: 糖質濃度が2〜4%程度と低め。
- メリット: 浸透圧が低いため、水が身体に吸い込まれるように「急速に吸収」されます。
- デメリット: エネルギー(カロリー)は低いため、スタミナ切れを防ぐ効果はアイソトニックに劣ります。
【シーン別】プロが教える「今、飲むべき一本」はこれだ!

理学療法士として、生理学に基づいた「ベストな選択」をシーン別に分類しました。迷った時はこの基準で選んでください。
シーン①:運動前(30分前〜直前)
- 正解:アイソトニック (例:ポカリスエット)
- 理由: 運動前は、これから使うエネルギー(糖質)を満タンにしておく必要があります。まだ汗をかいていない状態なので、吸収速度よりも「エネルギー補給」を優先します。
シーン②:運動中(発汗量の多いサッカー、野球、ランニング)
- 正解:ハイポトニック (例:イオンウォーター、アミノバリュー)
- 理由: 汗をかいて体内の水分が減っている時、身体は「一刻も早く水が欲しい!」と叫んでいます。この状態で濃いアイソトニックを飲むと吸収に時間がかかるため、薄めのハイポトニックで素早く細胞を潤すのが正解です。
シーン③:長時間の耐久スポーツ(マラソン、ロードバイク)
- 正解:アイソトニック (またはエナジージェル併用)
- 理由: 30km走やロングライドでは、脱水よりも先に「エネルギー切れ(ハンガーノック)」のリスクがあります。水分と一緒に糖質を常に補給し続ける必要があります。
シーン④:デスクワーク、冬の乾燥対策(日常)
- 正解:水、お茶、またはハイポトニック
- 理由: 運動をしていない状態でアイソトニックを常飲すると、「糖分の摂りすぎ」になります(ペットボトル症候群のリスク)。日常の水分補給なら水で十分ですが、少し脱水気味なら糖質の少ないハイポトニックを選びましょう。
シーン⑤:【緊急】足が攣った(痙攣した)時
- 正解:経口補水液 (例:OS-1)※なければハイポトニック
- 理由: 足が攣るのは、筋肉の収縮を調整する「電解質(ナトリウム・マグネシウム等)」が枯渇し、神経伝達が暴走している状態です。 この場合、スポーツドリンクでは塩分濃度が足りません。「飲む点滴」と呼ばれる経口補水液で、高濃度の電解質を即座に流し込むのが、現場での鉄則です。
Juntos所長からの「裏技」アドバイス

「ハイポトニック飲料が売っていない時はどうすればいい?」
よく「ポカリスエット(アイソトニック)を水で薄めて飲む」という方がいますが、これは半分正解で、半分間違いです。
- 〇: 糖質が薄まるので、吸収速度は速くなり「ハイポトニック化」します。
- ×: 重要な「塩分(ナトリウム)」も一緒に薄まってしまうため、足が攣りやすくなります。
【正しい自作ハイポトニックの作り方】 アイソトニック飲料を水で2倍に薄めた場合、「塩をひとつまみ(0.5g〜1g程度)」足してください。これで「吸収が速く、かつ塩分もしっかり入った」理想的なスペシャルドリンクが完成します。
まとめ:「たかが水」と思っていませんか?

水分補給は、ただ喉を潤すだけの行為ではありません。 一般の方にとっては「命と健康を守る盾」であり、アスリートにとっては「能力を最大限に引き出す武器」です。
水分補給は「知識」が9割です。
「何をいつ飲むか」を知っているだけで、冬場の体調不良を防ぎ、腰痛や肩こりなどの不調を改善し、さらには試合でのパフォーマンスを劇的に変えることができます。
Juntos-Laboは、理学療法士としての医学的知見に基づき、これからも帯広の皆さんの健康と、アスリートの挑戦を「科学」でサポートし続けていきます。
【帯広・十勝でジムをお探しの方へ】
今回の記事のように、トレーニングの効果を最大化するには「正しい医学的知識」が不可欠です。
もしあなたが帯広でジムやトレーナーを探しているなら、「誰に教わるか(資格や専門性)」を基準に選ぶことで、ケガのリスクを減らし、最短で結果を出すことができます。
理学療法士の視点から「失敗しないジムの選び方」をまとめましたので、ジム選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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